読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

照井竜という男

ドラマ

(内容の性質上ネタバレを含みます、仮面ライダーWを見る予定があり楽しみだ、という方はブラウザバックを推奨します)

 

今年の1/30、当時自分は知人の勧めで見ていた獣電戦隊キョウリュウジャーを見終える頃合いだった。次の特撮何見ようかという話をしていた時に、東映の公式youtube仮面ライダーWの配信が始まった。面白いし見やすいし仮面ライダーW見てみようと勧められて見始めたWは、面白くそしてカッコよく、毎週金曜日の更新が楽しみになった。今となってはそれももう半年ほど前の話になる。

二人で一人の仮面ライダー、個性豊かな敵怪人(作中ではドーパント)、またそのドーパントになるためのガイアメモリなるものを作っている謎多き敵組織とその幹部...。正義のヒーロー仮面ライダーと悪の戦いだけでなく、探偵である主人公たちを毎週訪れる依頼人たちや刑事、街の人々...。毎週ハラハラドキドキワクワクと楽しく見させてもらっている。先週分(5/29)の更新でもう36話まできてしまった。

さて、今回はそんな36話の中心人物となった人物、風都署の刑事である照井竜の事について書こうと思う。

  •  注意事項

先に断り書きを。

1.筆者は特撮ヒーローに関しては全くの素人であること。

2.再三ではありますが、ネタバレを含むため読む際には注意すること。

3.筆者個人の見解であるということ。

4.筆者は現在もWを見ている最中であり、36話まで見ての見解であること。

 

  • 照井竜について

主人公たちの住む街、風都署に転属してきたエリート刑事。アクセルのガイアメモリの使い手であり、それを使用することで仮面ライダーアクセルへと変身する。

風都で家族を惨殺された過去を持ち、家族を殺したWのメモリの持ち主に復讐すると誓っている。

硬派な男であり、主人公である左が目指すところのハードボイルドに該当する。頑なすぎるところもあり主人公や周囲の人に諌められる場面もしばしば。

 

  • 35、36話「Rの彼方に」

今回で区切りのつく話らしいですね。主人公や敵対組織ミュージアムの動きなど、今まで出てきたキャラクターが総出演した豪華な話でした。

しかし今回の重要な人物...主人公は二人。照井竜と、彼の因縁の宿敵である井坂深紅郎の二人です。

今回、井坂は野望成就のために凪(今回の依頼人ポジション?)を犠牲にしようと考え、照井は井坂に家族を殺されたという凪に重なるところを感じ守ろうとした。

前半は井坂の力に敵わなかった照井だが、シュラウドに新たなるメモリ、トライアルを与えられる。その新しい力で凪を守り切り、そして見事宿敵井坂を倒す。

 

  • 照井の精神性の変化

今回の話、構図としてはまさに因縁の対決だった。事の始まりは井坂による照井の家族などを殺した風都連続殺人事件。その事件に潜んだ井坂の意図は恐ろしく軽く「メモリの力を試したかったから」。そうして「人の命を利用し自分の目的のために使い捨てようとする井坂」と「家族を守れなかった、また井坂に復讐しようとする照井」という構図ができた。これが今回36話に至るまでは井坂も照井もほぼ変わることはなかった。

いつも頑なな照井は、特に宿敵井坂のこととなると我を忘れる傾向があり、しかしそれを追い詰められても紙一重でかわす井坂と追う者と追われる者という構図が全てだったと思う。

あくまで照井は憎しみに憑かれた復讐者、井坂は照井(過去に己がしでかした所業、と言ってもいいかもしれない)のことなど歯牙にも力に貪欲な悪人というシンプルなもの。

しかし今回照井は凪を守るために戦い、そして見事守りきってみせた。トライアルのマキシマムドライブはあまりに強力で使いこなせず、シュラウドにも「復讐心が薄れた彼には興味がない」と言われ見放され、そんな中で井坂に人質凪を餌に呼び出される照井。失敗すれば自分も凪も死ぬ。そんな状況でトライアルメモリを見事使いこなした。

シュラウドの「復讐心が足りない」という台詞の他にも、井坂が凪を利用しようとした際に「恐怖が成長を促進させる」と明言していた話だけに印象深い。(バードメモリの回も負の感情が進化を促す?と言っていたような気がする)

マイナス感情(復讐や恐怖)を上回るのはプラス感情(誰かを守りたいという気持ち)、口数の多くない彼はその体を以て希望を示してくれたような気がする。

また今回は、彼は「家族を殺した井坂を倒す」という復讐者としてではなく、「大切に思う誰かを守る」仮面ライダーへとなることができたのではないだろうか?

何度か主人公にも「仮面ライダーはこの街の人に涙を流させない」と言われてきた、それを今回彼は一人きりでちゃんと見つけたのだと思う。

その変化や影響は、本編を見るとはっきり分かる。あの一匹狼で誰も寄せ付けない雰囲気のある照井が、よく笑っているのが何よりの証拠だ。

 

  • トライアルメモリと照井

今回シュラウドから渡され強化フォームに当たる(のだろうか?)アクセルの新しいメモリ、トライアル。信号機とストップウォッチがあしらわれたメモリで、これを使用することによりアクセルトライアルとなる。

能力面に関してはこの際置いておくとして、ここでは照井とそのメモリの関連性について解釈を述べていきたい。

まず前述したように、照井は復讐者である(だった)。その復讐心を見初められシュラウドにアクセルメモリとドライバー、エンジンブレードなどを与えられる。

初期の照井はドーパントには変身解除した生身の人間であっても容赦なく斬りつけようとした。更にそれを止めに入った主人公に対しなぜ止めたと激昂するなど、暴走すると歯止めが効かない様子がたびたび見受けられた。

そして使用しているメモリはアクセル、赤い仮面ライダー。使用武器もエンジンブレードで攻撃方法がスチームやエレクトリックなど、「怒り」「熱」「暴走」「吹き荒れるエネルギーや感情」などを想起させる。つまり荒々しさがメモリと使用者の照井両方の共通解だったと解釈できる。

どんな事情であれガイアメモリ使用者にはきつく当たり人間状態でも攻撃する、復讐する相手である伊坂を見ると我を忘れて飛びこんでいくなど荒れに荒れていた。

しかし一方でトライアルメモリを手に入れた照井は、井坂との戦いに臨んで一度も激しい感情を発露することはなかった。

凪が人質に取られ決闘に呼ばれてからの照井は、今までにないほど穏やかで、亜樹子に「左とフィリップにもよろしくと伝えてくれ」とまで言った。井坂との戦いではいつもの「変...身!」と回転数を上げて行くかのような掛け声もなく、ただただ静かに変身を宣言する。そして井坂に「私への憎しみがお前をここまで強くしたのか」という憎い相手の最後にも「俺を強くしたのは憎しみなんかじゃない」とだけ返した。

トライアルは青いライダー、そのフォルムもシンプルで、アクセルのバイクに変身する機能もオミットされている。しかしその機能、デザイン、メモリの名前...アクセル同様に照井に重なる部分が多いと感じる。

トライアルの青は冷静の色。赤、黄色、青と変化するため不完全燃焼から完全燃焼の炎へというイメージがある。不純物のない静かな強い意志と言えると思う。

また赤は止まれの色、青は進むことができる色。過去に絡め取られた照井が未来へと歩みを進めるようだ。また止まれの赤はリミッターを連想させる、そのため青いトライアルはそのスピードも相まってまさに「すべてを振り切る」ようでもある。

名前になっているトライアルは競技用に特化した車両のこと。ただただ闇雲に力任せに突き進む赤いアクセルとは対称的に、「誰の、何のために力を振るえばいいか」を知ったトライアル。ここにもまた照井の変化を垣間見ることもできる

照井が過去を、井坂を、全てを振り切った力としてトライアルは印象的なメモリだった。

 

  • 「Rの彼方に」のRは何なのか

Wは二話で一本の話の構成を取っており、一話であれば「Wの検索/探偵は二人で一人」などタイトルA(章タイトル)/タイトルB(各話タイトル)という構成を取る。このタイトルAは多くはその回に出てくるメモリのイニシャルから取ってきているように感じる。例えば最初の二話は仮面ライダーWが主役なのでW、ミリオンコロッセオのマネードーパントの時はMといった具合だ。

しかし、今回新規で出てきたガイアメモリはケツァルコアトルスのメモリ、イニシャルはRではない。また同様に井坂の持つWのメモリも、トライアルのTでもない。ではRは何なのか?

単純に考えてこれはリベンジのRだろう。照井が家族を殺した井坂を倒すのだから復讐...リベンジと考えても良いだろう。

しかし、彼はあの戦いに臨んだ理由は果たして復讐であったか...?

答えはNOであるように思う。確かに復讐の先に見えたものは新しい守るべき存在だったかもしれないが、あの場に立った照井は復讐者としている訳ではない。

なら、Rは何なのか。個人的な解釈を述べていこうと思う。

R、リベンジではないとしたら他に何があるか...考え付くのはまずレスキュー。復讐ではなく、誰かを助けるために戦いに臨んだのだから文脈としてはおかしいところはない。しかし日本語のレスキューの意味としては救命といったニュアンスの方が強い印象を受ける...あながち間違いではないと思うけれど、なんかしっくりこない。

また井坂が因縁の相手であったこともあり、ライバルも当てはまるのではないか?本来復讐劇で終わることもあったろう照井の戦う理由が新しく見つかったのだから、ライバルを倒した先に見えたもの、と繋げられる。

照井単体で見ればリバイバル、復活や再生という意味でも通る。今まで復讐できるなら死んでも構わん!とまで言った照井が復讐鬼としてではなく誰かを守るという目的を見付けた。逆に言えば復讐できれば戦う理由もなくなる、死んだも同然となる=死にゆく者として考えれば生き返った=復活したと言えなくもない。昇華と解釈すれば照井の心の成長としても通じるだろう。

そして復活と言えば、不死鳥のイメージでもある。炎は、赤から青い交じり気のない炎へと。奇しくも今回のメモリはケツァルコアトル。蛇の神様ではあるものの火をもたらした神、平和の神、廻り来る太陽の象徴。仮にRがリバイバルだったとして、そんな話に出てくるのが火をもたらした翼持つ太陽の神のメモリだと言うのは、少々出来過ぎているかもしれない。

 

  • 最後に

前置きも含め長々となってしまいました。つい今回の話がメモリと照井の精神性について色々感じさせるところもあり熱くなってしまいました、反省はしている、後悔はしていない。

今後新しい話が始まるようで、終わりに向けて加速を続けるWが楽しみです。

 

P.S.

照井竜という男ってタイトル、見終わってない段階だしなんかちょっと大仰だったかなぁ...。

 

www.youtube.com