イケメンで侍な女子が告白をされた相手は...女子力高いオネェ!?

忙しさなどなども相まって更新が止まってました。

書きたいネタは「サンレッドが面白か」とか「新しいモンハンが発表された」とか「もうすぐMA3第二弾が出る(出てる)」とか「今年半分過ぎての漫画ラインナップ」とか色々あるんですけどまぁとりあえず保留で。それはともかく、実は可及的速やかに書きたいネタが一本ありまして。

先日生まれて初めて少女漫画雑誌を買いまして、それが月刊LaLaでまぁこれが見事にクリーンヒットでした。夏にアニメ化されるという赤髪の白雪姫、敬語彼女がかわいいうそカノなど欲しいシリーズがずばっと増えました。

すでに買ってきてある池ジュン子先生の「水玉ハニーボーイ」がとても素晴らしかったので簡単ではありますけど今回の記事にしようと思い立った次第です。

 

 ・水玉ハニーボーイ/池ジュン子(白泉社:月刊LaLa)

水玉ハニーボーイ 1 (花とゆめCOMICS)

水玉ハニーボーイ 1 (花とゆめCOMICS)

 
水玉ハニーボーイ 2 (花とゆめCOMICS)

水玉ハニーボーイ 2 (花とゆめCOMICS)

 

 

 

  • 作者について

作者さんの作品は短編集らしき一巻完結が二冊、二巻完結の長編が一本、そして現在水玉ハニーボーイ連載と比較的作家になって日が浅いのでしょうか?単行本の出た年から考えて今年でプロ四年目ないし三年目とまだまだフレッシュな方のようで。

どれもHC(白泉社コミックス)から出ているのを考えるとおそらくずっとLaLaで連載してきたということでしょうか。

白泉社LaLa純粋培養の実力や如何ほどかと言うと、まぁここで紹介してる時点で大概最高だった以外の選択肢はありませんね。

 

  • あらすじ

剣道部主将で「侍」の異名を持つ仙石芽衣。

ある日、隣のクラスの藤から告白されるが、彼は女子力の高い「オネェ」で・・・!?

上記のあらすじは水玉ハニーボーイ特設ページからの引用です。

 漫画の帯もあらすじにもあるように、オネェ系男子と侍系女子を中心とした青春漫画です。

恋愛漫画...なんでしょうけど、如何せん自分は少女漫画だけは本当に弱い上に今回読んだ水玉ハニーボーイが初めてまともに買った少女漫画で、読者としてはど素人でなおかつ飛んできた球が変化球でよく分かりません!でも甘酸っぱいのだけは確かだ!なので青春漫画とは胸を張って言える!

 

  • 中身について

内容としてはあらすじの通り、色恋や浮いた話に縁のない堅物な侍系女子である仙石芽衣が、オネェで女子力高い藤にアタックされるという内容です。

内容は面白い上、客層の幅の広さ...言い換えれば間口の広さがこの作品の長所であると感じました。その理由となるのは主に三つ。

 

1.肉体的な性と文化的な性が不一致であること。

2.絵柄の淡泊さ

3.見切り発車ではない裏付けされた展開、理屈

 

・理由1について

肉体の性と文化的な性の不一致、まぁ要するにセックスとジェンダーです。もっと言ってしまえば性別交換物に近い側面があること。

言い方は沢山あります、TS(TSG、TSF)、入れ替わり物、性転換フィクション。具体的に例を挙げるならずっと前にNHKでやっていたドラマの「どっちがどっち!(原作はおれがあいつであいつがおれで)」などでしょうか。

これによる利点はまず「読者を選ばないこと」ですね。主人公の性別と読者の性の不一致は結構高いハードルだと思います。そのハードルを下げ、またキャラクター性に昇華している点で侍系女子とオネェ系男子によくぞ落としこんだなと感心します。

最近ではいわゆるオネェであるとか、LGBT関係の認知も移ろっている印象もあるのでそこも作品に対して追い風でしょう。同性愛に関する認知の高まりの影響の一端はあると思っています。

個性として認知されるようになったのでより入りやすく、また言葉のイメージからどう言った話か想像がしやすく、イメージが湧きやすいのもこの作品の優れた点と言えるでしょう。

オネェ...なるほど男だけど女の子っぽいのが好きで更に女子力が高い。侍、ストイックでイケメンで恋愛とか縁遠そうだな。侍、オネェというキーワードがあるだけでここまで連想できますし、更にこの二人をミックスしたらどんな化学反応が起きるだろう!?という期待までさせてくれます。ずばり「話題性やキャッチーさには事欠かない」訳です。

また前述したように侍とオネェ、男と女とまるで正反対であり個性の強い二人なのでギャグもより際立って大変面白い。更に女性から男性にツッコミをしたり、武士だからこそオネェに天然のボケをかましたりと「ボケとツッコミのスイッチが切りかえられる」のもあり飽きないのです。

初めての少女漫画ということもありやや一巻読み切るまで長く感じましたが、その分十分に楽しませてもらいました。読み切って更に二巻にいくレベルで飽きない作りとなってます。

まとめると、「掴みの良さ」「入りやすさ」「キャラクターの役割が一辺倒にならず飽きない」が詳細な理由1の内訳です。

 

・理由2について

少女漫画と言えば思い出すもの。恋愛、女の子の周りに男の子がいっぱい、目がでかい、めっちゃきらきらしてる(トーンなどのせいで)とそんなイメージが強いんですけど、これに関してはそんなことはありません。むしろ絵柄としては非常にあっさりとしており、目が痛くなることもありません。少女漫画界隈では非常にシンプルな絵柄の部類に入るのではないのかなぁと。

特殊な技法や少女漫画文脈など少女漫画ジャンルに慣れていないと酔う、なんてこともありません。胸キュンシーンと言ったらいいのか、お姫様だっこされてモノローグが漏れる大ゴマなどもありますが、主人公が侍ですので比較的モノローグも多く少女漫画が初めてでも自然と入りこめました。

設定はすでに述べたように、視覚情報や作品の流れとしても、特に男性も入りやすい作品となっていると感じました。

あとアクションシーンなども魅せるカットが多く動きにも不満はありません。仙石さんめっちゃイケメン。

 

・理由3について

やや上から目線っぽくなるんですけど、作者さんめっちゃ頭いいなって素直に思ったんですよ。

漫画は追加要素をひたすら出していくというやり方もできるはずです。ハーレム漫画であれば新しい子を出す、バトル漫画であればひたすらインフレを引き起こす、そう言ったことで人気を獲得するのはある種一つの技法であると思います。単純に目を引きつけるものがあるわけで、実際に使っている漫画もあるような印象を受けます。キャラクターは多い方が受けやすい、派手な方が見てもらいやすい...そうすれば連載を読んでもらいやすく結果として連載の長期化に成功する。

ただ、この作品はそんな荒っぽい手は使ってはおらず、むしろ非常にゆったりとしたペースで進んでいきます。

仙石が基本的に色恋などに疎いため彼女にとって(ひいては読者にとって)新鮮かもしれませんが、よくよく考えれば一巻後半でやっと借りを返すということで休日に何かお礼になるものはーとデートまがいのことをしたくらいです。一巻でデートしたと言ったら展開早すぎますけど中身としては「お世話になったお礼探し」、お誘いした時の台詞が「今度の休日、君の一日を私にくれないか」ってかしこまってもう可愛すぎかというレベルでまるで小学生。

出てくるキャラクターは新規で出てきた恋敵、いやむしろ主人公二人の愛人である♂が一人くらいです。基本的に仙石と藤をベースで進みます。

その時々の話も、以前知らなかった相手の顔や過去が見えるようなっていくような、ちょっとずつピースが繋がっていくジグソーパズルのようなもどかしさ。割と軽い発言が伏線であったり、外堀を埋めていくやり方はもう最高ですね。

ここら辺や、巻末の四コマ漫画などを見ると割とメタギャグをやっていたり(一話で竹刀を軽く折ってたけど少女漫画パワーに頼り過ぎだろ!とか)と実は結構計算づくなんじゃないか作者と唸ることとなりました。

よもやこれが長期連載二本目であるとは、末恐ろしいにも程があります。担当なのか出版なのか作者のパワーなのか、いずれにせよとんでもない新人作家もいたもんです。

 

  • 総括

中身は文句なし、そして上記のような理由もあり男性だって全く問題なく読めるとどの土俵でも戦えるオールラウンダーな化け物連載と言えると思います。

どの程度のパワーかと言えば、今年のトップ争いには間違いなく食い込んできます。ポチクロとタイマンだって余裕で張れます(個人的にはこれ以上ない評価)。

まずあらすじが「オネェ系男子と侍系女子」とやや特殊な設定ではありますが、ここが問題なければ誰であろうといくつの人だろうと読める!と言い切ってしまっても過言ではないかと。

現在最新刊が二巻までとお求めやすいのも強いですね。

「読みたいけど少女漫画は...」という人は、とりあえず改めて特設ページのリンクを張っておきますのでそこで一話を読んでから決めても遅くないかと思います。

また作者さんのブログから以前の作品の試し読みも可能なようですね。

一癖も二癖もあるような二人が、青春を謳歌するギャグありオネェありイケメン(女子)ありと大変賑やかな作品です。

気になるけどと迷っている貴方もとりあえず一話無料公開なので読んでみるともれなく「新しい扉、開けるわよ♡(by藤)」

 

www.hakusensha.co.jp

 

水玉ハニーボーイ 2 (花とゆめCOMICS)

水玉ハニーボーイ 2 (花とゆめCOMICS)

 
水玉ハニーボーイ 1 (花とゆめCOMICS)

水玉ハニーボーイ 1 (花とゆめCOMICS)