間接表現のススメ

ショートカットの女の子が好きです、ショートカットの女の子の毛先ペロペロ。頭のネジでも飛んだか?と思われるんですけど違うんです、毛先の魅力がここまで焚きつけるだけなんです。

毛先だけでなく、雨粒、手、など様々なものが作品の中で自分を魅せてくれます。それらによって輝くちょっと迂遠な表現の手法...それを間接表現と自分は呼んでいます。

 

  • 間接表現について

突き詰めた言い方をしてしまえば「間接的な感情表現」というもの、いやぁこれが大の好物でして。

普通なら「悲しいという感情を見せるために涙をキャラクターに流させる」というのを、「大粒の雨を降らせ涙を断定できないように(または見せなくていいように)する」など。やや直接的なシーンでしたけど、鋼の錬金術師マスタング大佐とホークアイ中尉がヒューズ准将墓の前で「いかん、雨が降ってきたな。「雨なんて降って...」「いや、雨だよ」とやり取りをするシーンがありますよね。あれなんてその一つだと思っています。

 他にも「窓ガラスに映り込んだキャラクターがガラスの外を伝う雨粒によって涙の代わりとする」とか、「「表情を一切映さず手だけで感情の推移を表現する」とか、そういうものが大、大、大好物です!

 

  • 魅力

そもそも私はキャラクターの感情というものが大好物なので、カタルシスであるとか、キャラクターに圧し掛かる試練であるとか、選択を迫られたものが大変に好きでして。ひっくるめて言えば感情の奔流が大好きなんです。その感情、エモーショナルな情熱を、胸の奥に秘めた感情の発露をふとした瞬間に垣間見る、そこに浪漫があるんですよ...。

そして感情の発露には他者というものがある場合も多々あります。主人公の親友、ライバル、または仇敵...やり取りの中で膨らんでいく、育まれていく感情の温度。最近で言えば、僕のヒーローアカデミアの一話の終盤なんていい例だと思います(公式で読める)。

そういう感情表現の一つの技法として、あまり注目されないけれどあるのが、間接表現だと思ってます。

その感情を上品に包み込んで咀嚼し味わえるこのなんともいやらしい(褒め言葉)手法か!他者とのやり取りで、この二人だからこそやれる表現技法でもあると思います。それこそ、ハガレンの先にあげたシーンが典型例であるように。

踏み込む踏み込まないは別として、相手の隠そうとしていることを察した上で行動するという、オリジナリティがそこに生まれます。その二人、この人でなければ為し得ない感情の発露...それが間接表現の魅力であると私は思います。

 

  • 間接表現の性質

上記の物を踏まえるとどうしてもこの手の表現は物事の端に集中します。動作であるとか、感情発露の中心を見せない=その周囲を見せることで受け手に外堀を埋めさせる...。なので手、口の端、目じり、足、自然物(雨や風)などを多用します。そのため私は毛先、特に映りやすいのでショートカットの毛先というものは大変にテンションがあがります。アイドルマスターで雪歩、前川みくなどが作品の中では毛先に感情を乗せるということに一役買っていますし。

表情全体を見せないのであれば、口元だけを映すなど視点をずらす。また逆に表情全体を映すことも間接表現と言えるかもしれません。心に持った感情を見せないために、わざと表情でずらす、そういった手法もまた間接表現と言えましょう。

人単体にクローズアップするなら天気などもいい視点のずらし先と成り得るでしょうね。

要は「中心点を直接見せず、輪郭を見せることで輪郭線の内側を想像させる」という手法です。

そのため少し見方が分からないと楽しめませんが、分かるようになると身悶えすることができます。大人の味とでも言っておきましょうか。

 

 

  • 間接表現のある作品

探せば正直きりがないと思います。定義も曖昧、ぶっちゃければ「君が感じたらそれは間接表現だドン!!!」みたいな感じなので。

しかし参考程度に色々あげていってみようと思います。

 

1.シギサワカヤ/さよならさよなら、またあした(新書館ウィングス

さよならさよなら、またあした (ウィングス・コミックス)

さよならさよなら、またあした (ウィングス・コミックス)

 

 自分の間接表現の礎となったカヤ先生の作品。モノローグも多くいってしまえば誰に勧めたらいいか分からない恋愛作品が多い中で、これは真っ当な話で内容も掴みやすい良質な作品。

カヤ先生の持つ女性キャラクター、男性キャラクターの魅力がふんだんにあしらわれており、純粋にお話で見た時も面白いのではないかと。

さて今回間接表現として正直勧めにくいカヤ先生をプッシュせざるを得ないのですが、侮るなかれ。最後の数ページで貴方は飲まれることになる。

感情表現として間接表現という手法は、いくつかの応用ができます。その一つが前座としての間接表現。少年誌や様々な作品などで使われる感情の爆発を、視覚情報のみでここまで高めた作品というのも中々ないでしょう。

少々探すのが手間な作品ではありますが、読んでみて損はないかと。

間接表現度:大

純粋お勧め度:中

 

2.THE IDOLM@STER(アニメ)

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いわずもがなでしょう。アイドルマスター765プロ)のアニメです。

ストーリーやキャラクターなども初心者にも入りやすく、既にプロデューサーの人にも嬉しい形で捨てるところなしのアニメでした。

まぁ中身に関しては百聞に一見に如かず、というより既に見ている方の方が多そうですけど。(自分は今年に見ました)

さて、この作品にも実は間接表現が時折盛り込まれています、本当に時折だったと思いますけどね。

その他にも時間経過のさせ方であるとか細々したところや、一話一話の話の構成の妙など、見どころはたくさんです。

間接表現度:低

純粋お勧め度:特大

 

「作品を挙げるなら三つくらいあげないとなー」なんて思ってたんですけど、他になにか間接表現に秀でたのあったかなと考えるとぱっと思いつかないのでこのくらいで。

 

  • 最後に

間接表現にこれという基準はありませんし、今回書いたのも自分の中の基準でしかないです。

更には、今回私は「間接表現は感情表現の一つ」と言いましたが、大枠で見てしまえば代替表現の一種でもあります。なのでシガーキスも具体例になり得る。

「こういう感情表現がいいんだよ!」ってのを伝えたいがために少々定義を限定しましたけど、もっと言ってしまえば代替表現であるのですから。

少々分かりにくい表現ではありますが、一つの見どころとして抑えておくと作品を見る楽しみが増えるかもしれません。

そういった創作物を趣味とする方に新しい視点を提供できたのであれば幸いです。

 

なのでショートカットの女の子くださいペロペロ。